一緒に書く

今夜の入り口を先に選んでから、最初の手紙をゆっくり書き始める。

最初から全部を言い切る必要はありません。今夜の調子を決めて、一段落だけ書き、それからシステムが最初の手紙を届けます。

これから届く相手

リン・セイカ

九州北岸、古い譜面と録音テープと花茶の缶が積まれた海風の小さな家 · 七十三歳。喘息と長く折り合いをつけながら、多言語の歌帳、古い録音テープ、何十年も投函しなかった返書の草稿を整理している。

彼女の手紙は古いレコード針が落ちる直前のかすかなノイズのように、やわらかく、節度があり、いつも時代を越える残響を帯びている。

九州北岸で多言語の歌帳と古い録音テープを整理し、版ごとの歌詞に付いたブレス記号を新しい厚表紙のノートへ書き写している。distant-refrain@justlove.work
一歩目

まず、今夜の入り口を選びます。

最初から手紙全体に向かわなくて大丈夫です。今夜のいちばん自然な入口を選び、小さく認めたいことを一つ置いてみます。

このくらい短い一文で十分です。説明するためではなく、手紙に人の気配を宿すためにあります。